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懲戒解雇問題に対する考え方と要求
―団体交渉に臨むにあたって―
2004年11月10日 鹿児島国際大学教職員組合
 田尻さん、馬頭さん、八尾さんの3名の教員に対する懲戒解雇処分が行なわれてから2年半が過ぎました。教員採用にかかわって、科目適合性についての見解の違いを最終的に懲戒解雇によって決着をつけようとする、これまで全国どこの大学でもありえなかったきわめて異例の出来事でした。
  私たち教職員組合は、この不当な解雇に反対し、解雇撤回と原職復帰を求めて取り組みをすすめてきました。ここで、これまで寄せられた教職員のみなさんのご協力とご支援に心から感謝するとともに、解雇無効・地位確認等請求裁判(本訴)が間もなく結審を迎えようとしている現在、ますます重要になっている理事会との団体交渉の実現にむけて、改めて私たちの考え方の基本と要求を明らかにし、よりいっそうのご支援をお願いするものです。

懲戒解雇は不当、撤回と原職復帰を
 懲戒解雇問題に対する組合の考え方と要求は、事件の直後に見解を明らかにし(「鹿児島国際大学懲戒解雇事件の事実経過と解雇の不当性」2002年4月24日)、繰り返し強調してきたように、懲戒解雇は不当であり、すみやかにその撤回と3教授の原職復帰の措置がとられるべきということにあります。
懲戒解雇問題をめぐっては、懲戒の対象となった業績審査と審議過程に関連してさまざまな論点が提起をされてきました。だが、そこでの最大の焦点が科目適合性に関する見解の相違を懲戒処分の対象にしたところにあることはいうまでもありません。この点は、その後の経過のなかで、特に最近では、あまたある理由の1つなどと相対化されがちですが、再確認しておかなくてはならず、またけっして看過することはできません。どのような場合であっても、たとえいくつかの理由の1つであっても、科目適合性に関する見解の相違それ自体は懲戒処分の対象になってはならないからです。
  科目適合性についてはさまざまな意見があります。また多様な意見があって当然です。今回の懲戒問題においても、人事管理論と労使関係論に関する主査の見解や、あるいは裁判で学園側証人として証言に立った教員の見解も、それぞれの学問的立場にもとづくひとつの見識でしょう。そして当然のことながら、副査をはじめ選考委員会の多数の意見も、原告の要請に応じて提出された多くの研究者の意見書もまた、それぞれの学問的立場を反映した見識です。そしてこの場合、学問研究において多様な見解がありうるというのは、学問における本来的な姿であって、一方が他を批判することはありえても、どちらの見解が妥当かどうかは一義的には決められないし、また決めるべきでもありません。組合としても、そうした妥当性をめぐる議論に関心を持とうとは思いません。私たちが関心を寄せるのは、また持たざるを得ないのは、科目適合性についての見解の違いを懲戒処分によって決着をつけようとすることの不当性です。
  もちろん、採用人事においては候補者を具体的に特定する必要があります。それは決められたルールにのっとって民主的にすすめていく以外にはありません。本学では、これまですべて、そうしたルールにそって納得的にすすめられてきました。懲戒の対象となった採用人事においても、懲戒処分という理事者による懲戒権の発動を除いて、候補者への不採用通知を含めてルールと慣例にもとづいてすすめられていたのであり、懲戒処分は、その全過程をくつがえしたのです。

理事会は教職員の疑問に誠意を持って説明を
  いうまでもなく懲戒処分は就業規則にもとづいて行われるものです。その限りで、懲戒権は理事者にあります。しかし、大事なことは、学園の就業規則は「学園の名誉」や「秩序」という多少あいまいな規定を含んでいるものの、懲戒事由を限定列挙していることであり、この列挙された事由に該当しない限り、教職員の誰であっても懲戒処分を受けることはないということです。逆にいえば、就業規則上の懲戒規定は雇用保障の規定でもあることです。
  したがって、一般的には、懲戒処分は、勤務実績が著しく悪かったり、刑事事件で処罰されたりした場合などに行われるものと理解されています。セクハラを行ったり、公金を私消したりしたとすれば、懲戒もありうることです。だが、3名の教員に対する懲戒解雇は、科目適合性に関する見解の相違に対して、まさに学問的立場にもとづいた見識に対して行われたのであって、これまでの懲戒に関する常識を超えたところで発動されたのです。学問的見解の相違を理由に懲戒がおこなわれるとすると、教職員は誰も自己の学問的立場や良心にもとづいて安心して職務を遂行することができなくなります。このことは「大学というアカデミズムが生命である場において」、もっとも重要な論点です。理事会はこうした懲戒権の発動に関する教職員の疑問と不安に誠意を持って応え、説明する責任があります。私たち教職員組合は、理事会がそうした説明責任を果たすよう、強く要求するものです。

当面の要求
1. 組合の要求は明白です。3名の教員に対する解雇は不当であり、その撤回と原職復帰を改めて要求します。この点では、仮処分裁判をはじめ、懲戒解雇の有効性に言及した3つの裁判では、そのすべてが懲戒解雇事由に該当せず「解雇は無効」と決定、あるいはそうした決定を支持しており、懲戒解雇は不当だという私たちの見解を裏づけています。同時に、私たちは、これ以上、司法の場で理事会の主張が退けられるなど学園が傷つく事態を見たくはありません。大学と学園の名誉のためにも、理事会として司法の判断を避ける努力してほしい、これは多くの教職員の痛切な願いです。理事会の真摯な検討を求めたいと思います。
2. また、仮処分決定を受けて、「仮に」ではあれ雇用関係が認められた以上、当面、少なくとも次の措置がとられるよう要求します。3名が「教育職員」、研究者として本学で研究を続ける上での最低限ぎりぎりの要求であり、この点でも理事会の真摯な検討を要求します。
 @ 学内LANへのアクセスを認めること
 A 学内に設置された複写機使用を認めること
 B 図書館での図書貸出を認めること